我が家には今、車が1台あります。妻の通勤用です。長年連れ添った夫婦でも、車との付き合い方はこんなにも違うものかと、あらためて感じています。
一方、私は車を手放しました。今はバイクで通勤しています。同じ家に住んでいても、必要とするものは、こんなにも違うのかと、自分でも興味深く感じています。
同じ家の中でも、「車が必要な人」と「そうでない人」がいる。今日は、そんな我が家の実例をもとに、車を持つべきかどうかを考えてみたいと思います。
車を持ち続けると、いくらかかるのか
年間維持費は軽自動車で約33万円、普通車で約51万円
まず、数字で確認しておきましょう。車の維持費には、税金、保険料、車検、ガソリン代、駐車場代、メンテナンス費用などが含まれます。普段は意識しにくいものも多く、まとめて見てみると、その総額に驚く方も多いはずです。
軽自動車の場合、これらを合計した年間維持費はおよそ33万円が目安です。普通車になると、およそ51万円前後まで上がります。月に換算すると、1万7,000円から3万円ほどの負担です。
ある調査では、直近1年で「維持費が高くなった」と回答した人が64.8%にのぼりました。ガソリン代や部品代の値上がりが、じわじわと家計を圧迫しているようです。車を持つというのは、こうした変動する費用を、ずっと払い続けるということでもあります。
手放せば、年間35〜55万円が浮く計算に
逆に言えば、車を完全に手放せば、年間35万円から55万円程度の出費を抑えられる計算になります。これは決して小さな金額ではありません。
この金額を老後の資金づくりに回せると考えると、車を持ち続けることの重みが、また違って見えてくるのではないでしょうか。5年、10年という単位で考えれば、数百万円という規模の差になっていきます。老後資金づくりの基本的な考え方については、以前の記事「55歳から始める老後資金」もあわせてご覧ください。目に見えにくい固定費こそ、見直したときの効果が大きいものです。
私が車を手放し、バイクを選んだ理由
私の場合、会社が自宅から近いこともあり、バイクでの通勤にほとんど不便を感じません。渋滞にはまることもなく、駐輪の場所探しに困ることもほぼありません。
唯一気になるとすれば、雨の日です。濡れながらの通勤は、あまり気が進みません。
ただ、実際に通勤し始めてから気づいたことがあります。朝と夕方、ちょうど移動する時間帯に雨が降っている日は、案外少ないのです。天気予報で1日「雨」となっていても、通勤時間だけを見ると、意外と持ちこたえていることが多いのです。
この気づきは、私にとって大きなものでした。「雨が心配だから車を手放せない」と思い込んでいましたが、実際に数えてみると、本当に困る日は、思っていたよりずっと少なかったのです。レインコートを一着用意しておけば、それで十分対応できる範囲でした。思い込みというのは、案外あてにならないものだと痛感しました。
バイクとカーシェア、代替手段のコスト
バイクなら5年で約100万円の節約試算も
バイクは、車に比べて税金も車検も燃料代も安く済みます。手放す・手放さないを迷っている方にとって、バイクという中間の選択肢は、意外と見落とされがちです。125cc程度のバイクと軽自動車を5年間で比較した試算では、バイクのほうがおよそ100万円安く済むという結果も出ています。
さらに、自動車保険の「ファミリーバイク特約」を使えば、単独でバイクの保険に入るより、保険料をぐっと抑えられます。我が家も、この特約を活用しています。妻の車の保険に付帯させる形なので、別々に契約するより手続きも簡単でした。
これは案外知らない人が多いみたいで2重に契約している人も少なくないみたいです。こうした小さな工夫の積み重ねが、家計全体の負担軽減につながります。
カーシェアは「使う頻度が低い人」向き
もう一つの選択肢が、カーシェアです。利用した分だけ料金がかかる仕組みなので、車に乗る頻度が低い人ほど、お得になります。
目安としては、週に3回、4時間程度以下の利用であれば、車を所有するより安く済むという試算があります。たまにしか車が要らない、という方には、有力な選択肢です。都市部を中心にステーションも増えており、以前より利用しやすくなっています。買い物や通院など、限られた場面だけ車が必要な方には、特に相性がいい仕組みだと思います。
妻の車が「必要」である理由
一方、妻の場合は事情が違います。勤務先が遠く、公共交通機関だけでは通勤に時間がかかりすぎるため、車が生活の足として欠かせません。乗り換えを挟むと、片道の所要時間が倍近くになってしまうのです。
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。「車を持つべきか、手放すべきか」に、家族全員に共通する正解はありません。通勤距離、公共交通機関の有無、勤務時間帯。人によって条件が違えば、答えも変わって当然です。
我が家では、たまたま私の通勤条件がバイクに向いていて、妻の通勤条件は車が必要だった。それだけのことです。どちらが正しい、という話ではありません。大切なのは、家族それぞれの事情を、丁寧に見比べてみることです。話し合いの中で、お互いの通勤条件を改めて言葉にしてみると、意外な発見があるかもしれません。
将来、免許を手放すときのために
今すぐの話ではありませんが、いずれ誰にでも訪れるのが、運転免許を手放すタイミングです。62歳の私にとっても、決して遠い未来の話ではありません。妻もいずれ同じ道を通ることになります。
免許返納に、年齢による法律上の決まりはありません。ただ、65歳から74歳の間に返納する方が、全体の半数以上を占めるというデータがあります。75歳以上の死亡事故率は、75歳未満のおよそ2倍、80歳以上になると約3倍という数字も出ています。
大切なのは、年齢そのものより、運転の様子に変化がないかを、自分自身や家族が客観的に見ておくことです。車庫入れで擦る回数が増えた、ウインカーの出し忘れが増えた。こうした小さな変化が、判断のサインになります。日頃から意識しておくだけで、見え方は大きく変わります。
まだ先の話であっても、こうした基準を知っておくだけで、いざというときに落ち着いて話し合えるはずです。家族の誰かが先に気づいたときに、感情的にならず伝えられるかどうかは、こうした事前の心構え次第だと思います。
まとめ 車は、家族一人ひとりで考えるもの
車を持ち続けると、年間30万円から50万円ほどの維持費がかかります。手放せば、その分がまるごと浮きます。バイクやカーシェアという選択肢も、条件次第では十分に現実的です。
それでも、車が本当に必要な人は、必要です。我が家がまさにそうであるように、車を持つかどうかは、家族の中でも一人ひとり答えが違って当然なのです。世間の「手放したほうがいい」という空気に流される必要も、「持ち続けるのが当たり前」という思い込みに縛られる必要もありません。それぞれの生活実態に、正直に向き合うことが何より大切です。
「なんとなく持ち続けている」という方は、一度、ご自身の通勤や生活圏を振り返ってみてください。私のように、「雨の日は意外と少ない」というような、新しい発見があるかもしれません。数字と実感、両方をすり合わせてみることが、後悔のない判断につながります。思い込みを一度、脇に置いてみることから、始めてみてはいかがでしょうか。


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