今年も暑い夏がやってきました。エアコンのリモコンに手を伸ばしながら、「また電気代が上がるんやろな」と、つい設定温度を我慢気味にしてしまう。
私自身がまさにそうです。検針票を見るたびにため息をついて、少しでも使用を控えようとしてしまいます。長年、家計簿とにらめっこしながら暮らしてきた身としては、数百円、数千円の違いでも気になってしまうものです。
同じように感じている方は、きっと多いのではないでしょうか。長年、家計を切り詰めることを大切にしてきた世代だからこそ、「もったいない」という気持ちが自然と先に立ちます。
でも、今回いろいろと調べてみて、正直、背筋が寒くなるような事実にいくつも出会いました。今日は、その事実と、我慢せずに乗り切る具体的な工夫を、一緒に見ていきたいと思います。
「電気代がもったいない」が、命取りになることがあります
まず、知っておいていただきたい数字があります。2025年、熱中症で救急搬送された人は全国で10万人を超え、統計開始以来、初めて10万人の大台に達しました。過去最多です。
そのうち65歳以上の高齢者が57.1%を占めています。搬送された人の約3人に1人は、入院が必要な中等症以上でした。
さらに衝撃的なのが、発生場所です。熱中症は屋外で起こるイメージがあるかもしれませんが、実際にもっとも多いのは「住居」、つまり自宅の中でした。全体の38.1%を占めています。
道路(19.7%)や、不特定多数が出入りする屋外の場所(12.1%)を大きく上回っているのです。そして、東京都23区で行われた調査では、屋内で熱中症により亡くなった方のうち、約85%はエアコンを使っていなかった(オフにしていた、設置していなかった、故障していた、のいずれか)ことがわかっています。
これは、決して特別な誰かの話ではありません。「自宅にいれば安全」という思い込みこそが、実は一番の危険なのです。夜中に何度も目が覚めるなど、体調の変化に気づきにくい方は、特に注意が必要です。詳しくは夜中に何度も目が覚める60代への記事もあわせてご覧ください。
なぜ、我慢してしまうのか
専門家の調査によれば、エアコンを適切に使えずに亡くなった方の多くは、一人暮らしや高齢のご夫婦の世帯で、年金や貯蓄で暮らしている方が中心でした。決して特別に困窮していたわけではなく、ごく普通に、堅実に暮らしてきた方々です。
「電気代がもったいないから」「これくらいの暑さなら大丈夫」。そう思う気持ちは、私自身よくわかります。長く節約を重ねてきた世代ほど、その習慣が体に染みついています。
しかし、その「もったいない」という気持ちが、時として命よりも優先されてしまう。これは誰にでも起こりうることだと、心に留めておいてほしいのです。
加齢とともに、暑さや喉の渇きを感じにくくなり、体温を調節する機能も低下していきます。「まだ大丈夫」と自分で判断できる感覚そのものが、実は年齢とともに鈍っていくということも、知っておいていただきたい事実です。
知っていますか?今、電気代の補助が出ています
ここで、ぜひ知っておいてほしい朗報があります。実は今、2026年7月から9月使用分について、国による「電気・ガス料金支援」が実施されています。標準的な家庭で、3か月合計およそ5,000円の負担軽減が見込まれる内容です。
前年の夏の支援よりも手厚くなっており、電気料金は低圧契約の場合、7月・9月が1kWhあたり3.5円、8月は4.5円の値引きとなります。
この支援に申請の手続きは必要ありません。契約している電力会社が自動的に料金から差し引いてくれる仕組みなので、検針票や請求書、電力会社のWebサイトなどで、値引きが反映されているか確認してみてください。
「電気代を気にせずエアコンを使ってほしい」。この支援は、まさにそうした思いから実施されているものです。我慢する理由を、一つ減らしてくれる制度だと捉えて、遠慮なく活用してください。
なお、こうした補助制度は実施期間や内容が変わることがあるので、詳しい最新情報は経済産業省・資源エネルギー庁のサイトや、契約中の電力会社の案内で確認しておくと安心です。夏場の他の出費についてはお盆の帰省・親戚付き合いの出費や夏のボーナスがない場合の家計管理の記事もご参考にしてください。
我慢せず、賢く冷房代を抑える5つの工夫
とはいえ、多少でも電気代を抑えたいという気持ちも、大切にしたいですよね。命を守ることを大前提にしたうえで、賢く節約する方法を5つ紹介します。
①設定温度は28℃を目安に、下げすぎない
環境省などが示す室温の目安は28℃です。ただし、これは室温の目安であって、エアコンの設定温度そのものではありません。体感的に暑ければ、次にお伝えする工夫を組み合わせてください。ちなみに、設定温度を1℃上げるだけで、約13%の省エネ効果があるとされています。
②風量は「自動」に設定する
電気代を気にして風量を弱めにする方がいますが、実はこれは逆効果です。弱い風では部屋が冷えるまで時間がかかり、かえって電気を多く使ってしまいます。風量は「自動」に任せるのが、もっとも効率的です。
③扇風機やサーキュレーターを併用する
エアコンの風だけでは、部屋の中に温度のムラができてしまいます。扇風機やサーキュレーターで空気を循環させると、同じ設定温度でも体感的に涼しく感じられ、部屋全体が効率よく冷えます。
④すだれや断熱シートで、窓からの日差しを防ぐ
夏の暑さの多くは、窓から差し込む直射日光が原因です。すだれやカーテン、断熱シートで日差しを遮るだけで、部屋の温度上昇そのものを抑えられ、エアコンの負担が軽くなります。
⑤フィルターを定期的に掃除する
フィルターにほこりが溜まると、エアコンの効きが悪くなり、無駄な電力を消費してしまいます。2週間に1度程度を目安に、フィルター掃除を習慣にしてみてください。
エアコンを使わない選択肢は、ありません
ここまで節約の工夫をお伝えしてきましたが、最後に、これだけは繰り返しお伝えしたいことがあります。専門機関も一貫して呼びかけているのは、「エアコンの使用をためらわないでください」ということです。
節約はあくまで、安全に冷房を使い続けるための工夫であって、我慢して使わないための言い訳にしてはいけません。
もし、離れて暮らすご両親やご親戚、近所にお一人で暮らす高齢の方がいらっしゃれば、この夏、一言声をかけてみてください。「エアコン、ちゃんと使えてる?」。その一言が、誰かの命を守ることにつながるかもしれません。
まとめ 我慢しなくていい夏にするために
電気代を気にする気持ちは、決して悪いことではありません。長年、堅実に家計を守ってきたからこその感覚だと思います。ですが、今年の夏は、その我慢に「命」がかかっているという事実を、どうか忘れないでください。
節約とは、電気代の数字を小さくすることだけが目的ではなく、安全に、快適に暮らし続けるための手段です。目的と手段を取り違えてしまわないよう、この夏はぜひ意識してみてください。
今は電気・ガス料金支援という後押しもあります。設定温度と風量の見直し、扇風機の併用、日差し対策。今日紹介した工夫を組み合わせれば、電気代を抑えながら、我慢せずに夏を乗り切ることができます。
まずは、エアコンのリモコンを手に取って、設定温度と風量を見直すことから始めてみてください。今日から、少しだけ肩の力を抜いて、この夏を過ごしていただけたらと思います。


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