「熟年離婚したいけどお金がない…」貯金なしの50代・60代女性サバイバル術

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「夫と別れたい。でも、貯金もないし、私一人で生きていけるはずがない」。そう考えて、離婚という選択肢に蓋をしてしまっている方は、決して少なくありません。お金の不安は、それほどまでに重く、人の足をすくませます。

でも、どうか最初にこれだけは知っておいてください。お金がないことは、離婚をあきらめる理由にはなりません。日本には、経済的に困ったときに頼れる制度が、いくつも用意されています。そして、貯金がゼロからでも、生活を立て直していく道は確かにあります。

この記事は、そんな「お金がないから無理」と思っている方のための地図です。離婚のときに受け取れるお金、公的な支援、そして収入の柱の作り方。この3つを順番に見ていけば、道筋が見えてきます。一つずつ、一緒に確認していきましょう。

まず、離婚のときに受け取れるお金を確認する

「貯金がない」と聞くと、ゼロから丸腰で放り出されるようなイメージを持つかもしれません。でも、離婚のときには、あなたが受け取れるお金があります。

一つは財産分与です。結婚してから夫婦で築いた財産は、名義が夫のものでも、原則として半分を受け取る権利があります。もう一つは年金分割で、婚姻期間中の厚生年金の記録を分けてもらえます。これらは、このシリーズの別の記事でくわしく解説していますので、ぜひあわせて読んでみてください。

「うちには分けるような財産なんてない」と思う方もいるでしょう。でも、夫の退職金、生命保険の解約返戻金、年金の記録など、見落とされがちな共有財産は意外とあるものです。まずは「何があるか」を確認するところから。ここが、生活を立て直す最初の元手になります。財産分与でまとまったお金を受け取れれば、それを当面の生活費や引っ越し費用に充てることができ、この後お話しする公的支援に頼る場面も減らせます。だからこそ、貯金がないと感じていても、離婚の話し合いの段階でこの「もらえるお金」を後回しにしないでください。

お金がなくても頼れる公的支援

受け取れるお金を確認したら、次は公的な支援です。日本には、収入が少なくても暮らしを支えてくれる制度があります。一つずつ見ていきましょう。

生活福祉資金貸付

当面の生活費が足りないとき、まず検討したいのが生活福祉資金貸付です。これは、低所得の世帯や高齢者世帯などが対象で、無利子または低い金利でお金を借りられる制度です。窓口は、お住まいの地域の社会福祉協議会。民間の消費者金融に手を出す前に、まずこちらを相談してください。生活を立て直すための、やさしい足場になってくれます。

住居確保給付金

住む場所の不安がある方には、住居確保給付金があります。離職などで住まいを失うおそれのある人に、家賃相当額を一定期間支給してくれる制度です。申請すると、自治体から大家さんへ直接家賃が支払われる仕組みになっています。まずは、各地域の生活困窮者自立相談支援機関に問い合わせてみてください。

保険料・公共料金の減免

離婚後、夫の扶養を外れると、国民健康保険や国民年金の保険料を自分で払うことになります。でも、収入が少なければ、これらの保険料は減額や免除を受けられます。手続きは市区町村の窓口です。国民年金は、免除を受けても将来の受給資格の期間にはカウントされるので、払えないときは未納のままにせず、必ず免除の申請をしてください。世帯によっては、水道料金などの減免が受けられることもあります。

最後のセーフティネット、生活保護

そして、どうしても生活が立ちゆかないときの最後の支えが、生活保護です。国が定める最低生活費より収入が少ない場合に、その差額が支給される制度で、生活費や家賃、医療費などが対象になります。

ここで、大切なことをお伝えします。生活保護を受けることは、恥ずかしいことでも、負けでもありません。申請は、国民に認められた正当な権利です。「人様の世話になるなんて」とためらう気持ちが出るかもしれませんが、これは私たちが納めてきた税金で作られた、まさにこういうときのための仕組みです。要件を満たすなら、堂々と福祉事務所に相談してください。一時的に助けを借りて、また立ち直ればいいのです。

収入の柱を作る——50・60代からの仕事探し

公的支援で足場を作りながら、並行して考えたいのが、自分で収入を得る手立てです。「この年で、しかもブランクがあって、仕事なんて見つかるの?」と不安に思うかもしれません。でも、道はちゃんとあります。

ハローワークの「生涯現役支援窓口」

まず頼ってほしいのが、ハローワークです。全国のハローワークには、シニア世代に特化した「生涯現役支援窓口」が設けられています。ここでは、積極的に中高年を採用したい企業の求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書や職務経歴書の書き方、面接の受け方まで、丁寧にサポートしてくれます。利用はすべて無料です。一人で求人サイトとにらめっこするより、まず窓口で相談したほうが、ずっと早く前に進めます。

ブランクがあっても始めやすい仕事

長く専業主婦だった方でも、始めやすい仕事はたくさんあります。清掃、介護、接客、警備といった分野は、未経験・資格不要・ブランクOKの求人が多く、多くのシニア世代が活躍しています。特に、長年の家事で培った段取りや気配りは、そのまま仕事の強みになります。50代・60代の落ち着いた雰囲気や人生経験が、かえって歓迎される職場も少なくありません。年齢を引け目に感じる必要はないのです。

働きながら資格を取る道もある

もう少し腰を据えて、手に職をつけたい方には、職業訓練という選択肢があります。雇用保険を受けられない方でも、一定の要件を満たせば、職業訓練を受けながら月10万円と交通費の給付を受けられる制度があります。生活費の心配を少し軽くしながら、介護や事務などの資格取得を目指せます。くわしくは、ハローワークで相談してみてください。

一人で抱えないでください。まずは相談から

ここまで、いろいろな制度をお伝えしてきました。「こんなにたくさん、自分で調べて手続きするなんて無理」と感じたかもしれません。でも、心配いりません。

どの制度も、あなたが一人で完璧に理解してから動く必要はないのです。まずは相談する。それだけでいいのです。生活のことなら市区町村の窓口や社会福祉協議会、法律やお金のことなら法テラス、仕事のことならハローワーク。それぞれの窓口には、道案内をしてくれる職員がいます。「何から聞けばいいかわからない」という状態のまま行っても、まったく問題ありません。

最初の一歩は、立派な決断でなくていいのです。電話を一本かける、窓口に足を運んでみる。その小さな行動が、閉じていた道を開いてくれます。

まとめ お金がないことは、あきらめる理由になりません

貯金がなくても、熟年離婚後の生活を立て直す道はあります。まず、財産分与や年金分割で受け取れるお金を確認する。次に、生活福祉資金貸付や住居確保給付金、保険料の減免、そして生活保護といった公的支援で足場を作る。さらに、ハローワークを頼りに、無理のない仕事で収入の柱を立てる。この3本立てで、ゼロからでも暮らしは立て直せます。

お金の不安で、我慢を続ける人生に蓋をしてしまう必要はありません。あなたには、これからを自分らしく生きる権利があります。そのために使える仕組みは、ちゃんと用意されています。まずは、相談の電話を一本かけるところから始めてみてください。

次回は、暮らしのお金の中でも特に大きな問題、「離婚後、家はどうなるのか」という住まいのテーマを、くわしく掘り下げていきます。

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