今のところ、孤独を感じることはありません。
妻もいますし、仕事もあります。日々の会話も、それなりにあります。でも、この先ずっとそうだとは限らない。そう思うと、少し不安になることがあります。
今日は、定年後の孤独と、お金の意外な関係についてお話ししたいと思います。まだ孤独を感じていない方にこそ、読んでおいてほしい内容です。
定年後、男性が孤独になりやすい理由
会社との接点が切れると、一気に孤立する
定年退職は、仕事という居場所を失う出来事でもあります。長年勤めてきた会社との接点がなくなると、そこでできていた人間関係も、急速に疎遠になっていきます。
近所付き合いや友人関係についての調査でも、男性は女性より付き合いが少ないという結果が繰り返し出ています。地域の交流イベントに参加するのも、たいてい女性のほうが多いそうです。
「会社人間」として働いてきた時間が長いほど、退職後に地域とのつながりを一から作り直すのは、簡単なことではありません。私自身、心当たりがないとは言えません。仕事を辞めた瞬間、名刺という肩書きも同時に失うことになります。名刺なしで人と関わる練習を、今のうちから少しずつ始めておいてもいいのかもしれません。
孤独死の発見まで平均19日
厳しい数字も紹介しておきます。孤独死の発見までにかかる日数は、平均で19日というデータがあります。
異変に気づくきっかけの多くは、近隣住民による異臭の通報や、家賃・公共料金の滞納だそうです。誰かに気づかれるまでに、それだけの時間がかかってしまう。
あおるつもりはありません。ただ、この数字は、孤独が「気持ちの問題」だけでは済まないことを、静かに物語っています。孤独死は男性のほうが多いという指摘もあり、決して他人事ではないと感じています。
孤独は、お金まで失わせることがあります
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。孤独は、心の問題にとどまりません。お金の問題にも直結します。
高齢者の3大不安は「お金・健康・孤独」と言われています。そして、悪質な業者は、まさにこの3つにつけ込んできます。
孤独を感じている方は、話し相手を求める気持ちから、訪問販売や電話勧誘の相手を無下にできず、つい話を聞いてしまう。そこにつけ込まれるケースが少なくありません。長時間居座られたり、強引に契約を迫られたりする手口も報告されています。優しく話を聞いてくれる相手ほど、実は警戒が必要というのは、なんとも皮肉な話です。
2021年の特殊詐欺の認知件数は14,498件、被害額は282億円にのぼります。そのうち65歳以上の高齢者が占める割合は、88.2%という高さです。
「相談できる相手がいなかった」ことが、被害が広がる大きな要因になっているとも指摘されています。孤独であることが、お金を失うリスクそのものを高めてしまうのです。家族や知人と定期的に会話する習慣があるだけでも、こうした被害を未然に防げる可能性が高まります。「またあの人か」と気軽に電話できる相手が一人いるだけで、判断力は大きく変わってきます。
お金をかけずにつながりを保つ方法
怖い話ばかりでは終わりたくありません。お金をかけずに、人とのつながりを保つ方法もちゃんとあります。
公民館・地域コミュニティセンターの講座
お住まいの地域の公民館やコミュニティセンターでは、無料または低額で参加できる講座やイベントが定期的に開かれています。
写真、囲碁将棋、俳句、体操。ジャンルは幅広く、同じ地域に住む同世代との自然な出会いの場になります。まずは、お住まいの自治体のホームページや広報誌を覗いてみるところから始められます。定期的に通う場所ができるだけでも、生活のリズムが整いやすくなります。参加費も数百円程度からと、気軽に試せるものがほとんどです。
ボランティア活動
人の役に立ちたいという気持ちがあるなら、ボランティアも有力な選択肢です。社会とのつながりを取り戻せるだけでなく、「誰かに必要とされている」という感覚が、生きがいにもつながります。
体力的に無理のない範囲で始められるボランティアも多くあります。地域の社会福祉協議会などに問い合わせてみると、具体的な情報が得られます。長年の仕事で培った経験やスキルが、思わぬ形で役立つこともあります。誰かの役に立てたという実感は、想像以上に心を満たしてくれるものです。
入会費無料のシニアサークル
最近は、入会費や年会費が一切かからず、参加費のみで気軽に加われるシニアサークルも増えています。
趣味を通じたつながりは、孤独感の軽減だけでなく、会話による脳の活性化や、認知症予防の効果も期待されています。一人で抱え込まず、まずは一度、参加してみることが大切です。合わないと感じたら、無理に続ける必要はありません。いくつか試してみて、自分に合う場所を見つけていくくらいの気持ちで十分です。
私が今からやっていることについて
以前の記事「お金のかからない趣味が、老後の家計と心を守る理由」で、ブログとAIという趣味に出会った話をお伝えしました。
実はこの趣味、孤独対策としても機能しているのかもしれない、と最近気づきました。ブログを通じて、同じ悩みを持つ読者の方とつながっている感覚があります。顔は見えなくても、誰かに向けて言葉を発しているという事実が、思っていた以上に自分を支えてくれています。書くという行為そのものが、頭の中を整理し、気持ちを落ち着かせてくれる面もあります。
お金のかからない趣味を持つことは、家計を守るだけでなく、将来の孤立を防ぐ備えにもなる。今、そう感じています。趣味の中身は何でもいいと思います。大切なのは、自分から発信したり、誰かと関わったりする回路を持っておくことです。
夫婦の会話も、大切な備えの一つです
もう一つ、付け加えておきたいことがあります。地域や外部とのつながりだけでなく、身近な家族との会話も、孤独を防ぐ大切な土台です。灯台下暗し、という言葉がありますが、まさにそうだと思います。
長く一緒にいると、つい会話が減ってしまいがちです。特に、仕事の話ばかりしてきた夫婦ほど、退職後に共通の話題を見つけにくくなることがあります。
意識して、他愛のない会話を交わす時間を作る。一緒に出かける機会を作る。こうした日々の積み重ねが、外部のつながりと同じくらい、大きな支えになります。私自身、この点は今のうちから意識しておきたいと思っています。
まとめ 今は感じていなくても、備える価値があります
孤独は、お金の問題であり、命の問題でもあります。今は孤独を感じていない方も、定年後にその状況が一変する可能性は、誰にでもあります。長年連れ添った配偶者に先立たれる、体調を崩して外出が難しくなる。きっかけは、いつどこにあるか分かりません。
大切なのは、孤独を感じてから慌てて動くのではなく、今のうちから、お金のかからない範囲で、人とのつながりを持っておくことです。つながりは、一朝一夕にはできません。だからこそ、余裕のある今のうちに、土台を作っておく価値があります。
公民館の講座、ボランティア、シニアサークル。どれか一つ、気になったものから、まず情報を集めてみることから始めてみてください。小さな一歩が、10年後の安心につながっていくはずです。完璧な備えでなくていい。今日、一つだけ調べてみる。それだけで十分な始まりです。


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