45歳のインプラント治療、700万円。歯のメンテナンスが老後の医療費を左右する理由

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私は45歳のときにインプラント治療を受けました。

最終的にかかった費用は、約700万円。今振り返っても、大きな金額です。当時のことは今でもよく覚えています。

当時は事業がうまくいっていて、なんとか払えました。でも、今の状況だったら、絶対に無理です。契約社員として働く今の収入では、とても手が出ない金額です。

今日は、その実体験をもとに、歯のケアと老後のお金の関係について、正直にお話ししたいと思います。

700万円の内訳、そして1年以上かかった治療

まず、私の治療の中身を少しお話しします。最初にかかったのは、保険適用外の差し歯治療で、これだけで約150万円でした。歯を1本ずつ失っていくたびに、対応が積み重なっていった結果です。振り返れば、この段階ですでに、歯周病がかなり進行していたのだと思います。

その後、インプラント治療に進みました。本数は、確か12本ほどだったと思います。

ここからが大変でした。インプラントを入れる前に、顎の骨を作るための外科手術が必要だったのです。血小板を使って骨を作る、という処置でした。長年の歯周病の影響で、骨自体がやせてしまっていたのだと思います。

土台となる骨がしっかりしていないと、インプラントを支えられません。そのための準備期間がまず必要でした。骨が定着するのを待つだけでも、数ヶ月単位の時間がかかります。通院のたびに、先の見えない長い道のりだと感じていました。

すべての治療が完成するまで、1年以上かかりました。正直、忍耐のいる治療でした。もし最初から土台の骨がしっかりしていれば、期間はもっと短く済んだはずです。この経験から言えるのは、早めの対応がいかに大切かということです。

歯を失う原因、第1位は「歯周病」

歯周病は成人の7〜8割がかかっている「国民病」

歯を失う原因として、もっとも多いのが歯周病です。全体の約4割を占めるとされています。

そして、歯周病は決して珍しい病気ではありません。成人の約7〜8割が罹患しているとも言われ、45歳以上に限れば、半数以上が歯周病というデータもあります。

つまり、私たちの多くが、すでに歯周病の入り口に立っている、あるいは中にいる可能性がある、ということです。年齢を重ねるほど、この確率はさらに高まっていくと考えられています。

痛みがないから、気づかない

歯周病の厄介なところは、初期段階でほとんど痛みを感じない点です。「沈黙の病気」とも呼ばれています。

歯ぐきから血が出る、なんとなく口臭が気になる。この程度の症状なら、放置してしまう方も多いのではないでしょうか。忙しい日々の中で、後回しにしがちな症状でもあります。

気づいたときには、すでにかなり進行している。私自身、そうした経緯をたどった一人です。振り返れば、あのときの小さなサインを見逃さなければ、と思うことがあります。歯ぐきの色や腫れ、口臭の変化。日々の小さな変化に、もう少し敏感になっておくべきだったと感じています。

歯を失うと、いくらかかるのか

インプラントの相場は1本30万〜50万円

一般的に、インプラント治療は1本あたり30万円から50万円が相場とされています。健康保険が適用されない自由診療だからです。

私の場合は12本ほど、しかも骨造成という追加の手術も伴いました。だからこそ、550万円という金額になったのだと思います。単純計算でも本数分の相場を大きく超える金額です。

もし歯を失う本数が少なければ、金額はもっと抑えられたはずです。逆に言えば、失う本数が増えるほど、負担は雪だるま式に膨らんでいきます。

ブリッジ・入れ歯という選択肢もある

歯を失った場合、インプラント以外にも選択肢はあります。ブリッジは保険適用で1本2万〜3万円程度、入れ歯は5千円〜1万5千円程度と、費用は大幅に抑えられます。

ただし、ブリッジは両隣の健康な歯を削る必要があり、将来的にその歯にも負担がかかるリスクがあります。健康だった歯まで、連鎖的に失うケースもあると言われています。

治療法によって、費用も、将来への影響も変わってきます。どれが正解ということではなく、自分の状態や希望に合わせて、歯科医師とよく相談することが大切です。

歯周病と全身の健康、わかっていること・わかっていないこと

ここは、慎重にお伝えしたい部分です。近年の研究で、歯周病と全身の健康との関連が指摘されるようになってきました。

国立長寿医療研究センターによれば、慢性歯周炎のある人は、ない人に比べて認知機能が低下している傾向が見られたという報告があります。

台湾で行われた10年間の追跡調査では、歯周病がある人はない人と比べて、アルツハイマー病発症のリスクが1.7倍という結果も出ています。対象になったのは50歳以上の方々で、私たちと近い世代のデータです。

ただし、これらはあくまで「関連が見られる」「リスクが高い可能性がある」という段階の話です。人における明確な因果関係は、まだ研究が進んでいる途中だと、同センター自身も述べています。

断定はできませんが、無視できる話でもない。そのくらいの受け止め方が、今のところ適切だと思います。

お金をかけずにできる、今日からのケア

定期検診は3〜4ヶ月に1回、数千円で受けられる

歯科の定期検診は、3〜4ヶ月に1回程度が目安とされています。保険適用の3割負担であれば、1回あたり2,500円〜3,000円程度です。

歯石は、自分で磨いても取りきれません。専門的なクリーニングを定期的に受けることで、初期段階のトラブルを早期に発見できます。

数千円の検診と、数十万円、数百万円の治療。この差を考えると、定期検診は決して高い投資ではありません。私自身、この差額の大きさを、身をもって学びました。

セルフケアの基本は、就寝前の丁寧な歯磨き

寝ている間は唾液の分泌が減り、口の中の細菌がもっとも増殖しやすい時間帯です。だからこそ、就寝前の歯磨きがいちばん重要とされています。

歯ブラシだけでは、汚れの6割程度しか落とせないとも言われます。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、磨き残しをぐっと減らせます。

特別な道具や高額なケア用品は必要ありません。今使っている歯ブラシに、歯間ブラシを一本足すだけでも、十分な一歩になります。継続することが、何より大切です。

それと私が今欠かさず習慣にしているのが、寝る前にキシリトールをスプーン小さじ1を口に入れ3分程度クチュクチュすることです。

キシリトールは虫歯の原因となるミュータンス菌(虫歯菌)を「弱らせて数を減らす」という特殊で強力な働きを持っているので寝起きの爽快感が違います。

まとめ あのとき、もっと早く気づいていれば

この記事を書くために当時のことを振り返ってみて、あらためて金額の大きさに驚きました。同時に、歯を失ってから治療するのと、失う前に予防するのとでは、かかるお金も時間も、比べ物にならないほど違うのだと実感しています。

700万円、そして1年以上の治療期間。振り返ると、もっと早い段階でケアをしていれば、避けられた出費と時間だったのかもしれません。骨造成から始める治療は、体への負担も決して小さくありませんでした。

歯周病は、痛みがないうちから静かに進行します。だからこそ、「今は困っていないから大丈夫」という油断が、いちばん危ういのだと思います。

数千円の定期検診と、日々の丁寧な歯磨き。地味な積み重ねですが、これが老後の医療費を守る、いちばん確実な方法です。歯のケアのように、見落とされがちな支出こそ、老後資金全体の計画に響いてきます。老後資金づくりの基本的な考え方については、以前の記事「55歳から始める老後資金」もあわせてご覧ください。さらに、歯の医療費だけでなく、60代からは医療・介護費全体を見通しておくことも大切です。60代の医療費・介護費はいくらかかる?健康寿命が尽きた後の生活費が一番怖い親の介護費と自分の老後資金が同時に襲ってきたの記事もあわせてご覧いただくと、老後の医療・介護まわりのお金を全体像として把握できます。

私自身の700万円という経験が、誰かにとって「今日、歯医者の予約を取ろう」と思うきっかけになれば、うれしく思います。読んでくださった方の歯とお財布が、少しでも長く健康でありますように。

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