退職金を投資で失敗して大きく減らしてしまう。60代にとって、これは絶対に避けたい事態です。なぜなら現役時代と違って、減らした分を取り返す時間がないからです。
かく言う私も、投資で80万円を溶かしました。しかも誰かに騙されたわけではありません。YouTubeの動画を信じて、自分の判断で手を出した結果です。
この記事は、私の恥ずかしい失敗の全記録です。同じ失敗をする人を一人でも減らしたくて、包み隠さず書きます。
YouTubeのあおり動画を信じた私の失敗
「こんなに簡単に増えるのか」という錯覚
きっかけはYouTubeでした。レバレッジ商品を紹介する動画を見たのです。「初心者でも簡単に増やせる」というような内容でした。今振り返れば、あれは再生数を稼ぐための完全なあおり動画でした。でも当時の私には、それが分かりませんでした。
レバレッジ商品とは、値動きを2倍・3倍に増幅させる金融商品です。上がれば大きく増えますが、下がれば大きく減ります。投資の勉強もろくにしないまま、「儲かるらしい」という理由だけで手を出してしまいました。
最初の数ヶ月で、約40万円増えました。「こんなに簡単に増えるのか」と思いました。投資ってこんなに楽なものなのか、と。今思えば、この最初の成功体験が一番危なかった。
あれよあれよと下がっていく
調子に乗っていた私を、現実が打ちのめしました。あれよあれよという間に、価格が下がり始めたのです。
下がっていく画面を見ているときの気持ちは、今でも忘れられません。「大丈夫、また上がる」と自分に言い聞かせながら、焦りつつも、祈るしかない状況でした。何の根拠もない祈りです。投資というより、もはやギャンブルでした。
1年ほど、価格は上がりませんでした。毎日チャートを見ては一喜一憂し、ストレスが溜まっていきました。そしてついに耐えきれず、損切りしました。損失は約80万円。最初に増えた40万円も含めて、すべて吹き飛びました。
損切りした後に待っていた残酷な現実
ここからが残酷でした。私が損切りしてから1年ほどで、価格は元の値まで戻したのです。そしてそこからさらに3ヶ月で、もし持っていればかなりの利益が出ていました。
つまり私は、一番安いところで売ってしまったのです。これこそが、初心者が負ける王道パターンです。高いところで買い、ストレスに耐えきれず安いところで売る。そして売った後に価格が回復する。多くの初心者が、この同じ罠にはまります。
分かっていたはずなのに、なぜ失敗したのか
自分のことになると前が見えなくなる
一番怖いと感じたのは、これです。「分かっていたはずなのに、自分のことになると前が見えなくなる」。
冷静なときなら「あおり動画を鵜呑みにするな」「投資は勉強してから」と分かっていたはずです。人にアドバイスするなら、間違いなくそう言ったでしょう。でも自分のお金、自分の欲が絡んだ瞬間、その当たり前の判断ができなくなりました。
これが大衆心理というものなのか、と痛感しました。みんなが買っているから買う。上がっているから飛びつく。下がると怖くなって売る。理屈ではなく、感情で動いてしまう。私もその一人でした。
「ポチポチ病」の正体
私の失敗の本質は、明確なルールを持たずに投資したことです。どこで利益確定するか、どこで損切りするか。これを決めないまま、雰囲気だけでスマホをポチポチと操作して買ってしまった。私はこれを「ポチポチ病」と呼んでいます。
ルールがないから、価格が上がれば「もっと上がる」と欲が出て売れない。下がれば「もっと下がる」と恐怖で売ってしまう。感情に振り回されるだけの投資は、必ず負けます。
悪いのは動画ではなく自分
あおり動画に腹を立てたい気持ちもありました。でも結局、投資は自己判断・自己責任です。動画を見て買うと決めたのは自分。勉強せずに手を出したのも自分。悪いのは自分なんです。
この事実を受け入れたことが、立ち直りの第一歩でした。誰かのせいにしている限り、また同じ失敗を繰り返すからです。
80万円の損失から立ち直るまで
一度はやめようと思った
損切りしてお金も減って、「もう投資はやめよう」と思いました。一度すべてを失った経験がある人間が、またお金で失敗した。情けなさと自己嫌悪でいっぱいでした。
でも、どうしても諦めきれませんでした。「このままでは老後資金が作れない」「年金だけでは生きていけない」という現実があったからです。やめるのは簡単でしたが、やめたら未来がない。
有料セミナーで基礎から学び直した
そこで考えを変えました。「失敗したのは知識がなかったからや。ならば、ちゃんと勉強すればいい」。
有料のオンライン投資セミナーに申し込みました。費用は約4万円。レバレッジで80万円溶かした後にさらに4万円を払うのは勇気がいりましたが、「知識に投資する方が、知識なしで投資するよりマシや」と判断しました。
セミナーで学んだのは、投資の基本中の基本でした。インデックスファンドとは何か。なぜ長期・積み立て・分散が重要なのか。そして一番大切なのは、テクニックではなくマインドセットだということ。私たちのような素人が投資で成果を上げるには、長期・積み立て・分散しかないと骨身に染みました。
S&P500とオルカンにたどり着いた
基礎を学んだ結果、たどり着いたのがS&P500とオルカンへの積み立て投資です。レバレッジ商品のような派手さはありません。でも、感情に振り回されず、コツコツ積み立てるだけ。今は年金の全額・月8万8千円を自動的に積み立てて、資産は着実に増えています。
あの80万円の失敗がなければ、今の堅実な投資にはたどり着けませんでした。高い授業料でしたが、無駄ではなかったと今は思えます。
退職金・老後資金を投資で失わないために
私の失敗から、同じ過ちを避けるためのポイントをお伝えします。
①勉強してから始める
当たり前のようですが、これが一番大切です。YouTubeのあおり動画や「簡単に儲かる」という情報を鵜呑みにせず、まず投資の基礎を学んでください。私のように80万円を失ってから学ぶのではなく、学んでから始めてください。
②レバレッジ商品・短期売買に手を出さない
60代の投資は「大きく増やす」ではなく「着実に守りながら増やす」が正解です。レバレッジ商品や短期売買は、退職金を一瞬で溶かすリスクがあります。手を出さないことが賢明です。
③第三者の客観的な意見をもらう
自分のことになると前が見えなくなる。これが人間です。だからこそ、投資を始める前に第三者の客観的な意見をもらうことが重要です。無料FP相談で自分の状況を整理してもらい、自分に合った投資方針を一緒に考えてもらうことをお勧めします。
私がもしレバレッジ商品に手を出す前にFPに相談していたら、間違いなく止められていたはずです。80万円の損失は防げていたでしょう。
まとめ|高い授業料から学んだこと
YouTubeを信じて80万円を溶かした経験は、今でも恥ずかしい記憶です。でもこの失敗が、私に大切なことを教えてくれました。
投資は感情で動くと必ず負ける。自分のことになると人は冷静さを失う。だからこそ、知識を身につけ、ルールを守り、第三者の意見をもらうことが大切やということ。
退職金や老後資金は、現役時代と違って取り返しがつきません。60代の投資の失敗は、致命傷になりかねません。だからこそ、私の失敗を他山の石にしてほしいのです。
これから投資を始めようとしている方は、どうか焦らないでください。まず学ぶこと。そして自分一人で判断せず、専門家の意見も聞くこと。それが退職金を守る、一番確実な方法です。
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