「年金は繰り上げと繰り下げどちらが得?60代が知っておくべき損益分岐点の真実」

はじめに

「年金をいつからもらい始めるのが一番得なのか?」

これは50〜60代なら誰もが一度は真剣に考える問題です。正直、私もずいぶん悩みました。そして61歳の時に繰り上げ受給を選択しました。その経験も含めて、できるだけ分かりやすく解説します。


まず基本を確認しましょう

年金の受給開始年齢は原則65歳です。ただし以下の2つの選択肢があります。

  • 繰り上げ受給:60〜64歳の間に早めにもらい始める(年金額は減る)
  • 繰り下げ受給:66〜75歳まで遅らせてもらい始める(年金額は増える)

繰り上げ受給の計算方法

繰り上げ受給をすると、1ヶ月早めるごとに年金額が0.4%減額されます。

計算式

減額率 = 繰り上げ月数 × 0.4%

具体例

65歳からの年金が月15万円の場合

受給開始年齢 繰り上げ月数 減額率 月額年金
60歳 60ヶ月 24%減 約11万4千円
61歳 48ヶ月 19.2%減 約12万1千円
62歳 36ヶ月 14.4%減 約12万8千円
63歳 24ヶ月 9.6%減 約13万5千円
64歳 12ヶ月 4.8%減 約14万2千円
65歳 0ヶ月 減額なし 15万円

この減額は一生涯続くことを忘れてはいけません。


繰り下げ受給の計算方法

繰り下げ受給をすると、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。

計算式

増額率 = 繰り下げ月数 × 0.7%

具体例

65歳からの年金が月15万円の場合

受給開始年齢 繰り下げ月数 増額率 月額年金
65歳 0ヶ月 増額なし 15万円
66歳 12ヶ月 8.4%増 約16万2千円
67歳 24ヶ月 16.8%増 約17万5千円
68歳 36ヶ月 25.2%増 約18万7千円
69歳 48ヶ月 33.6%増 約20万円
70歳 60ヶ月 42%増 約21万3千円
75歳 120ヶ月 84%増 約27万6千円

損益分岐点はいつ?

これが一番重要なポイントです。繰り上げ・繰り下げをした場合、何歳まで生きると「元が取れる」のか。

繰り上げ受給(62歳開始)vs 65歳開始の場合

  • 62歳から受給:月12万8千円
  • 65歳から受給:月15万円

62歳から受給すると3年間多くもらえますが、月額は少なくなります。

損益分岐点は約78歳です。78歳より長生きすれば65歳受給の方が総額で得になります。

繰り下げ受給(70歳開始)vs 65歳開始の場合

  • 65歳から受給:月15万円
  • 70歳から受給:月21万3千円

損益分岐点は約82歳です。82歳より長生きすれば70歳受給の方が総額で得になります。


結局どちらを選べばいいのか

正直に言います。正解は人によって違います。

以下のチェックリストで判断してみてください。

繰り上げ受給が向いている人

  • 60〜64歳の間に収入が少なく生活が苦しい
  • 健康に不安があり長生きに自信がない
  • 早めにもらってNISAや投資に回したい(私はこれです)
  • 配偶者の収入や貯蓄だけでは不安

繰り下げ受給が向いている人

  • 65歳以降も働けて収入がある
  • 健康で長生きの家系
  • 老後の生活費を年金だけでまかないたい
  • 配偶者が年下で長く年金が必要になる

私が61歳で繰り上げ受給を選んだ理由

私は61歳から繰り上げ受給を選択しました。理由は2つです。

一つ目は、今現在も仕事をしていて収入があるため、年金を生活費に使わなくていい状況だったこと。だからこそ年金の全額をNISAで米国株投資に回すことができています。

二つ目は、早くもらい始めて投資に回した方が、長期的に見て資産が増える可能性があると判断したからです。年金を減額されても、その分を運用で増やせれば損益分岐点を超えられると考えました。

これが正解かどうかはまだ分かりません。でも自分なりに計算して出した答えです。


知っておきたい注意点

① 繰り上げ受給は取り消しができない 一度繰り上げ受給を始めると、後から変更することはできません。慎重に判断してください。

② 障害年金がもらえなくなる 繰り上げ受給中に障害状態になっても、障害年金への切り替えができません。

③ 配偶者の加給年金に影響する 配偶者がいる場合、繰り上げ受給によって加給年金が受け取れなくなるケースがあります。

④ 住民税・所得税に注意 年金も収入として課税されます。繰り上げで収入が増えると税金や社会保険料に影響することがあります。


まとめ

年金の繰り上げ・繰り下げに絶対的な正解はありません。自分の健康状態・家計の状況・老後の生活設計を総合的に考えて判断することが大切です。

一つ言えることは、何も考えずに65歳になったら自動的にもらい始めるのではなく、自分でしっかり計算して選択することが重要だということです。

次回は具体的な老後の生活費の計算方法と、月10万円の副収入がいかに生活を変えるかについて書いていきます。


 

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