年金受給前の空白期間をどう乗り越えるか |60歳から65歳の5年間の現実

年金受給前の空白期間を考える60代のイメージ画像 老後のお金

60歳で定年を迎えて、最初に思ったこと

「65歳まで、どないして生活するんや」

これが正直な第一声でした。

定年を迎えたとき、私は年金は65歳からしか
もらえないと思っていました。繰り上げ受給も
繰り下げ受給も、当時は知りませんでした。
お恥ずかしい話ですが本当の事です。

老後のお金が心配で色々と調べていくうちに、
初めて繰り上げ受給という制度を知りました。
そのとき私はすでに60歳と半年を
過ぎていました。

よくよく調べて、61歳からの繰り上げ受給を
選びました。「減額されるのは痛いな……」と
迷いはありましたが、ある考えがあっての
決断でした。

この記事では、60歳から65歳までの
「空白期間」をどう考え、どう乗り越えるかを、
私の実体験をもとに話していきます。


そもそも「空白期間」とは何か

会社員として働いてきた人の多くは、
60歳で定年を迎えます。しかし公的年金の
受給開始は原則65歳です。

この60歳から65歳までの5年間が、
いわゆる「空白期間」と呼ばれます。

収入が大きく減るか、ゼロになるにもかかわらず、
生活費は変わらずかかり続けます。
老後資金の取り崩しが始まるのも、
多くの場合この時期です。

「年金さえもらえたら何とかなる」と
漠然と考えていた人ほど、この5年間の現実に
直面したとき、慌てることになります。

空白期間を乗り越える主な選択肢

①再雇用・再就職で働き続ける

②繰り上げ受給で年金を早めに受け取る

③貯蓄・退職金を取り崩して生活する

④これらを組み合わせる

どれが正解かは、人によって違います。
私の場合は①と②を組み合わせました。


私が61歳で繰り上げ受給を選んだ理由

定年後、私は再雇用制度を使って
嘱託社員として働き続けました。
給与は下がりましたが、生活費は賄えました。

そこで考えたのが「年金を投資に回す」
という発想です。

ここは、本当に悩んだ

正直に言います。繰り上げを決めるまで、
本当に悩みました。

繰り上げ受給すると、1ヶ月早めるごとに
0.4%減額されます(2022年4月以降の
改正後のルール)。61歳受給の場合、
65歳と比べて48ヶ月分、約19%の減額です。

「この約2割の減額が、これから一生
続くんか……」

これが、何度も頭をよぎりました。
年金は死ぬまでもらうものです。
その金額が一生2割減ると思うと、
簡単には決められませんでした。

調べ回って出した結論

そこで、徹底的に調べました。
そして出した結論が、これです。

米国のS&P500や全世界株式(オルカン)に
投資すれば、長期的に十分な成長が
見込めること。そして、その運用益が
NISAで非課税になること。

過去のデータを見ると、S&P500は
20年間の平均利回りが約8%、
オルカンも20年で約6.4%という実績が
あります(もちろん、将来を保証する
ものではありません)。

以前なら、運用益には約20%の税金が
かかっていました。それがNISAなら非課税です。
減額された年金を投資に回して、
この利回りで運用できれば、
2割の減額分を取り返すどころか、
それ以上のリターンが見込める。
そう判断しました。

ちなみに、私が実際に運用している実感では、
S&P500で約9%、オルカンで約7%ほどの
運用益が出ています。
派手さはありませんが、堅実に育っています。


見落とされがちな「手取り」の話

もう一つ、繰り上げを後押しした
大事な理由があります。
これは、あまり語られない話です。

年金にも、税金と保険料がかかる

年金は、額面がそのまま手に入るわけ
ではありません。所得税、住民税、
国民健康保険料、介護保険料などが
天引きされます。これは、わりと
知られていない事実です。

ところが、よく調べていくと
面白いことが分かります。
年金額が少ないと、これらの税金や
保険料がほとんど引かれないのです。

住民税には非課税になる基準があり、
年金収入を抑えると、住民税が
非課税になる場合があります。
住民税が非課税になると、
国民健康保険料や介護保険料も軽くなり、
医療費の負担上限も下がることがあります。

「あえて年金額を抑える」という発想

つまり、こういうことです。

65歳で満額もらうと、額面は多いけれど、
その分、税金や保険料もたくさん引かれます。
一方、繰り上げてあえて年金額を抑えると、
天引きが少なくなり、手取りベースでは
額面ほど差がつかない場合があるのです。

これは、私にとって大きな発見でした。

「損益分岐点」のウソではないが、注意点

年金の繰り上げの話になると、必ず
「損益分岐点は何歳」という議論が出ます。
「繰り上げると、何歳まで生きたら
損をする」というあれです。

でも、ここに落とし穴があります。

世間で言われる損益分岐点は、ほとんどが
「額面の総額」だけで計算しています。
65歳満額の人が、繰り上げた人の
受給総額に追いつくのが何歳か、
という単純な計算です。

でも、さっき話したように、
満額の人は額面が多い分、税金や
保険料もたくさん引かれます。
これを加味して「手取り」で計算し直すと、
満額の人が追いつくタイミングは
もう少し後ろにずれます。

つまり、繰り上げは、額面で言われるほど
不利ではない、ということです。

ただし、正直に言っておきます。
住民税が非課税になる基準は自治体によって
違いますし、家族構成や他の収入によっても
変わります。「繰り上げれば誰でも得」
という単純な話ではありません。
あくまで「自分の数字で計算してみる
価値がある」という話として
受け取ってください。

自分の場合はどうなのか。これを
正確に知りたいなら、FPに試算して
もらうのが一番確実です。

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私の、実際の投資の中身

「年金を全額投資」と言うと、
何か特別なことをしているように
聞こえるかもしれませんが、
中身はいたってシンプルです。

毎月の年金から、S&P500に5万円。
残りをオルカンに回しています。

年金は、時々金額が増えることがあります。
その増えた分は、オルカンに上乗せする。
そんな具合に積み立てています。

特別な銘柄を選んだり、タイミングを
計ったりはしません。ただ、決めた額を
淡々と積み立てるだけです。
これが、さんざん失敗してきた私が
たどり着いた、一番堅実な方法です。


繰り上げ受給のメリット・デメリット

【メリット】

・早く受け取れる分、投資期間が長くなる

・60代前半の「使える体」があるうちにお金が入る

・年金額を抑えることで手取りが目減りしにくい場合がある

・精神的な安心感がある

【デメリット】

・一生涯、減額が続く(私の場合は約19%)

・長生きするほど、額面の総受給額では損になる可能性

・在職老齢年金の対象になる場合がある

繰り上げ受給が向いているのは、
再就職・再雇用で収入があり、
年金を生活費ではなく投資に回せる人です。
逆に、貯蓄がなく年金だけが頼りの人には
向かない選択だと思います。


「空白期間」を乗り越えるための3つの準備

①70歳まで働く覚悟と体力を今から作る

インフレが続く今の日本で、
65歳から年金だけで生活できる人は
少ないと思います。

最低でも70歳ごろまで働く覚悟と、
それを支える体力を今から意識して
おくほうが無難やと、私は思っています。

働ける体があれば、空白期間の収入問題は
かなり解決できます。逆に体を壊すと、
全ての計画が崩れます。健康管理は
老後資金と同じくらい重要な「資産」です。

②再雇用・再就職の条件を事前に確認する

定年前に、勤務先の再雇用制度の条件を
必ず確認しておくこと。給与水準、
雇用形態、期間、社会保険の扱いなど、
知らないまま迎えると判断が遅れます。

再就職を考えるなら、定年の2〜3年前から
動き始めるのが現実的です。60歳を過ぎてからの
就職活動は、想像以上に厳しいです。

③年金制度を正確に理解しておく

私のように「65歳からしかもらえへん」と
思い込んでいる人は少なくありません。

繰り上げ受給・繰り下げ受給の仕組み、
在職老齢年金の影響、加給年金の有無など、
自分の年金額に関わる制度は50代のうちに
把握しておくべきです。

ねんきん定期便やねんきんネットで
自分の見込み額を確認することから
始めましょう。


これは政府の失敗だと今も思っている

正直に言います。

60歳で定年を迎えて65歳まで年金が出ない、
この制度設計は、多くの人にとって
現実と乖離していると私は今でも
思っています。

「なんでこんな制度になってんねん」と
今でも腹が立ちます。でも制度が変わるのを
待っていても仕方ない。自分で動くしか
ありません。

再雇用で働き続けながら繰り上げ受給を選び、
年金を投資に回す。これが今の私の答えです。

完璧な正解ではないかもしれません。
でも、制度の現実を理解した上で、
自分なりの判断をすることが大切だと
思っています。


まとめ|空白期間を乗り越える3つの柱

①70歳まで働く覚悟と体力を今から作る

②再雇用・再就職の条件を事前に確認する

③年金制度(繰り上げ・繰り下げ)を正確に理解する

空白期間は誰にでも訪れます。
備えた人と備えなかった人では、
その後の人生が大きく変わります。

まず自分の年金見込み額を確認することから
始めてほしいと思います。


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